生産性向上・コストダウンは永遠に不滅です!| 「収益力の定着化」-第1話
文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 奥村英夫
需給の変動が激しい昨今、生産資源を有効に活用し切れていない製造業が多い。需要変動に対して、生産資源のロスが顕著に現れている。各社、場当たり的に生産資源のロスを減らし、収益力を回復しようとしているが大半が抜本的な解決に至っていない。グローバル最適地生産、技術伝承、若手人材育成、等、問題が山積している中、目先の対応に終われ、将来の収益リスクへの備えは短期的にはコストアップに繋がることが多く、ついつい後回しとなりがちである。
そこで、本コラムでは、今回から複数回にわたって「収益力を定着化」させる打ち手について解説していく。まず、生産資源をコストではなく収益の源泉と捉え、中核業務の範囲を新たに明確化する。次に、4つの打ち手により、生産資源を柔構造化することで、将来の収益リスクを早めに摘み取り、どのように収益力の強化を行うか、そのポイントについて解説したい。
本コラムでは、生産資源とは、モノづくりに必要な「人」「設備」「技術・技能」のこととする。具体的には、モノづくりプロセスで付加価値を生み出す主体である「人」「設備」「技術・技能」のことである(管理間接も含む)。
1. 生産資源のロス発生のメカニズム
(1)生産資源のロスとは *本コラムの前提は、設備能力>ヒト能力 の最適化を目指す。
生産資源のロスは大きくわけて2つだ。一つ目は、生産能力に対する生産実績の下ブレによる「能力の遊び」である。二つ目は、生産能力を超える生産実績の上ブレにより残業、休出、能力増強投資等が発生した場合の「限界利益の目減り」分である。
(2)生産資源のロス発生のメカニズム
生産のフレによる生産資源のロスは一般的に次のようなメカニズムで生み出される。
a-1 生産が定時能力を超える部分は残業、休出で対応する。
b-1 残業、救出で対応しきれない部分は間接員の応援で対応する。
c-1 さらに能力が不足する部分はアウトソーシングされる。
d-1 定時能力を下回る部分は能力の遊びのロスが発生する。
(3)生産資源のロスの定量化
生産資源のロスは次のような式で、定量化ができる。
d-1 のロス=不稼動生産資源コスト+本来得られるはずの利益
=限界利益未回収分a-1+b-1+c-1 のロス=限界利益の目減り分
こう言ったロスは収益力の機会損失の温床であり、現状の収益の足を引っ張る諸悪の根源である。
●生産資源のロス発生メカニズム
2. 生産資源の”柔構造化”で抜本的収益力を強化
根本から収益力を強化するためにはには、生産資源の“柔構造化”という手法が効く。
生産資源の柔構造化は、具体的には4つの打ち手と3つのステップで進めていく。
<柔構造化4つの打ち手>
①生産資源のロス削減、②生産資源の価値向上、③生産資源の構造改革、④材流動化の収益リスク対応-—これら
<柔構造化3つのステップ>
①「収益力の回復(レベル1)」→②「収益の成長力の獲得(レベル2)」→③「収益力の定着(レベル3)」
●抜本的な収益力強化の概念
生産資源の柔構造化の目指す姿はコア業務への集中と仕事量に応じた柔軟なアウトソーシングである。一方、コスト構造面から見ると「固定費の変動費化」である。コア業務に集中し生産資源からより高い価値を生み出すとともにコンプライアン
ス対応を重視し将来の収益リスクを早めに摘み取ることで収益力の強化へ繋がる。
以上
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