日本の技術の守り神-4|3分で状況を解明解決した例
文責:ジェムコ日本経営 ニュービジネス開発事業部 財田 和典
◆“神業”の存在
今回は、“この分野では誰にも負けない”という高度な専門技術を有するシニアの技術者による技術コンサルティング。そんな“神業”の一端を、今回ご紹介します。(守秘義務の関係で詳細にお伝えできないのですが、なんとかイメージだけでもつかんでいただければと思います)
◆<例その1>鋳物の現場 「3分で状況を解明、課題を即解決!!」
「ある部品を鋳物メーカーから供給してお客様に納品したら破損した。当社には鋳物に詳しい者はおらず対策に困っています。ジェムコさんには鋳物の専門家はおられませんか…?」
機械メーカーからこのようなご相談があり、早速、取引先の鋳物メーカーに “鋳物の神様”( 技術コンサルタント)と伺いました。鋳物の神様は、現場をサッと見て、ものの3分ぐらいで外に出てしまいました。
私は、体調でも悪いのかな…と心配しました。ところが、技術の神様は、「もう分かったからいいんだ!」といいます。
実際、鋳造品の破損部を20倍の顕微鏡で観察したところ、微細な巣(鬆)が無数に入っていました。 「中子(ナカゴ 空洞部を作る型)に水溶剤を使用しているので、主型の型合わせの直前に、バーナーで主型の表面をよく焼いてアルコールを飛ばさないとダメですよ。」
また、他の鋳造品も見てもらったところ、「全体的に湯を入れる口が小さすぎますよ。これでは製品の端っこでいろいろな不具合が起きますよ…」それから、鋳物ですから非常に熱い。何度も火を止めたり、戻ったりで効率も悪い。炉からの出湯から型への注湯まで(炉⇒大取鍋⇒保持炉⇒子取鍋⇒型)へと湯が移る度に空気にさらされ、その度に湯の温度が下がってしまいます。
「だから元の温度は高くないとダメですよ」
等々、その場で不具合の原因を即座に見抜き、変えましょうと改善しました。先方もビックリされました。現場で3分で問題解決し、具体的な技術コンサルティングの導入へと相成りました。
◆<例その2>精密加工の現場「大学で教えない基礎も解説」
ある精密加工現場での例です。
機械加工の現場の方は「機械加工の基礎は分かっとるわい」と言われます。それに対して技術コンサルタントは、図、資料などを見せて、例えば『切削とは、削られる材料とそれより硬い材料のぶつかり合い、こすり合い』と分かりやすく解説します。現場の方もこうした説明はこれまでに聴いたことはありませんでしたから、初めて分かってきます。
また、機械加工の位置づけと流れについては、図解を用いながら「『設計』⇒『製図』⇒『機械加工』⇒『組立』⇒『完成』という全体の流れを考えて仕事をするんですよ」と、これもわかりやすく解説します。
現場の方はこういった形ではほとんど教わったことがありません。また、「よい切削性能を得るための要因」について、いわゆる「魚の骨図」(特性要因図)などを既にコンサルタントが持っていますので、現場の方に時間をかけて考えさせるのではなく、実務に即した「切削の基礎」を分かりやすく教えます。あるいは、固有技術のみならず、仕事の取り組み方など、大学でも教えない基礎をやさしく教示します。これらはほんの一例ですが、マネジメントコンサルタントとは異なる技術コンサルタントの仕事のイメージはこのような現場密着型で進められます。
確かに“神様”は高度な専門技術に詳しいコンサルタントですから、先ほどの鋳物の例のように、現場でどんどん具体的に問題を解決するのですが、その一方で、現場の方に対しては、神様オリジナルのテキストや図解資料などをきちんと提示しながら、ものづくりの原理原則ということを分かりやすく教えることも多くあります。
おかげさまで「技術の神様」のご相談案件がますます増えております。
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