JEMCO通信

「知っているはず!やっているはず!」の落とし穴

「知っているはず!やっているはず!」の落とし穴| 第三回 管理間接部門の人の習性-その2

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 櫻内 康章

 

前回、管理・間接業務で多く見られる「仕事をする人の習性」についてまず、3つについて解説しました。今回は、後半4つについて解説します。

  ①上司の指示には「GO」があるが、「STOP」がない
  ②無意識に仕事を「正当化」している
  ③その仕事の「コスト」を知らない


→④「目的と手段」を混同してしまう


→⑤「形式」だけの仕事が横行している


→⑥「自分本位」のやり方になっている


→⑦「保身」のための仕事をしている

④「目的と手段」の混同
日々の業務において、目的と手段を混同しているケースは多々みられます。
「目的」とは“何のためにそれをするのか”であり、「手段」とは“目的を果たすためにどんなやり方をするのか”です。
会議について考えてみましょう。手段は「どういうメンバーで、何人が参加し、TV会議で…」などであり、目的は、「○○を決める」ということです。
ここで大切なのは、「○○を決める」ということが目的である場合、そもそも会議が必要か、最適な方法か、ということです。例えば決めることが出来る人が参加しないのであれば、会議を開催すること自体意味がなく、会議は不要となります。本当にその会議で決められるか。決められないのであればやめるべきでしょう。目的を明確にしないで、会議を延々と続けているのであれば、それは「ムダ」です。
このように目的と手段という観点で会議を見極めると、たぶん日頃行われている会議は、“半分以上はなくてもよい会議”といえるかもしれません。

⑤「形式だけの仕事」の横行
往々にして、形としての報告書、あるいは個人の捺印一つで決定がなされるのではなく、関係者全員の捺印がなされて決定されるなど、過去の延長や慣習により、あまりにも形式だけの仕事の取り組みがなされていることもまだ見受けられます。
企業では、部とか課とかの業務分掌は一応決められていますが、それに比べて個人の責任の範囲については、明確であるとはいえません。個人の責任の範囲があいまいであることは、そこにはスピード感に欠け、過剰な業務、重複した業務が発生している可能性が高い、ということが、容易に想像できると思います。
何となく慣習や形式として行われている仕事が、まだ身の周りにありませんか?

⑥「自分本位」のやり方 ⑦「保身」のための仕事
本人は全く気が付かないばかりか、むしろ良いことだと思い込んでやっていることが、客観的にみると、“自分本位極まり無い”といった仕事の仕方をしている人も見受けられます。
例えば、「概要がわかればよいので、この程度でよい」と、“よい意味でのアバウトさ”を要求されているにもかかわらず、あまりにも完璧にやろうとして、時間をかけて仕事をすることは、「やらなくてよいこと」ではなく、むしろ「やってはいけないことだ」ということを認識すべきです。
また、いつ上司から指示が来てもよいように、また、即答できないと「彼は何もわかっていない」と評価されないために、過剰と思われる膨大な資料を作成したり、情報をあれもこれも揃えるなど、全く保身的な仕事をしている人もいます。
残念なことですが、要求以上に正確に且つ美しく表現しようとムダな労力を費やし、自己満足を通して仕事に対するやり甲斐を感じたり、保身のための仕事を作り出す人がまだ見受けられるようです。むしろ、自分本位の完璧は悪”とも言えるでしょう。

管理・間接業務の改善、改革に取り組むには、こうした「仕事をする人の習性」を認識することが重要です。
今回ご紹介した内容はWebアカデミーで取り上げています。詳細については以下のサイトでご覧いただけます。
http://web.tac-school.co.jp/cfo/course/cpd_043.html


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