コーチング研修の振り返り報告会から
文責:ジェムコ日本経営 営業部
会議室のドアを開けてメンバーが入ってきた。
5ヶ月間のコーチング研修を終えたメンバー一人ひとりの足取りと視線は、自信にあふれているとすぐにわかりました。
私達コンサルタント会社は成果を必ず求められます。
定量的な数字は成果の結果とし評価される重要なファクトとして扱われますが、コーチング研修などでは定量的な成果は見えづらく、私達としては評価がどう下されるのか、とても緊張する場面です。
「始めたころと何一つ変わってない」と言われてしまえば、それで終わってしまいます。
でも、私達の想いはメンバーが席に着く前に全て吹き飛びました。
研修の目的は、「自律的に変化を生み出し組織に進化をもたらす」ことで、自らを活性化させ、周囲に影響力を発揮する次世代の人材を育てることにあります。
5月上旬に部内全体で集合研修を行いその後、選抜メンバーを対象に個別コーチングを実施、本日の最終回は全員でお互いの心情を共有し振り返る報告会です。
報告会は本部長も出席しており、これまでお互いがどのような個別コーチングを受けてきたのか分からないので、メンバーは少し不安と緊張している面持ちです。その状況は集合研修と同じでした。
しかし、大きく変化していたのはメンバーの行動。コンサルタントが「振り返りのコメントをお願いします」と切り出すと、誰からともなく話し始めたこと。始まったころは、「○○さんお願いします」と発言を促されるのを待っている状態でした。
私は、この短期間にいったい何が、彼ら変えたのだろう?その答えは彼らの迷いのない振り返りコメントで理解しました。
人は日常生活の中で必ず他人との接点ができ、様々な情報や価値観が入り、自分の感情に影響をあたえられます。誰しも感情の影響を直接的に受けないように、無意識のうちに自分の周りに膜をつくり身を守ろうとします。ちょうど紫外線から地球を守るオゾン層のようなもので、私はこれを「Mind Block」と呼んでいます。
Mind Blockの内側にいれば安全で安心して過ごせます。ただし成長はしません、さらに自分の意識を塗り変えてしまう副作用も起こります。
意識の塗り替えとは、他人からの影響を極力受けないように、自分の「本当の思い」に嘘をつき「思っている」と思い始めてしまうことです。
この副作用が起きると、本当の気持ちが分からなくなり、混乱し葛藤が始まります。混乱と葛藤を抑えようとして膜を重ねて厚くして閉じこもるようになります。これを「心が乱れている状態」といいます。
彼らは、まず「心を整える」ことから始めたそうです。その方法は一人ひとり違いますが、共通していたことは職場以外でも自分の小さな感情の変化を意識し一日を振り返る行動です。
感情が乱れる時は自分の心が乱れている時。小さな心の乱れが、なぜそうなったのか、どうすれば心を整えられるのかを意識する。
それを個別コーチングで言葉に出してコンサルタントと話し合う。次はこうしてみたいとかコミットしながら実行して失敗と成功を繰り返しながら習慣化したそうです。
心を整える習慣をつけることで、自分が「本当に思っていること」へ素直に向き合えるようになり、さらには相手の気持ちに寄り添えるようになったと、メンバーは口をそろえて振り返っていました。
メンバーの自信に満ち溢れた姿は、自分の周りを取り囲んでいたMind Blockが消えた証、迷いのない発言は、自分の気持ちに素直に向き合えるようになったから、私はそう理解しました。
人の行動は自分が思っていることが顕著に現れます。行動を習慣づけることは質が高まります。そしてその行動は周囲の人に変化をもたらし影響を与えていくことになります。
報告会の最後にメンバーは行動を習慣づけるために何をするのか、コンサルタントと一人ずつ握手をしながらコミットしました。その言葉には熱い魂が入っているとても印象に残るコミットでした。
会議室を出る姿からは、ワクワクした気持ちが伝わってくるものでした。