「知っていること」「やっていること」と「出来ていること」
文責:ジェムコ日本経営 営業部
今回は報告会からのエピソードというよりも、我々営業部隊が日々感じていることについて少しお話してみたいと思います。
少し前の話題になりますが、2000年のシドニーオリンピックで高橋尚子さんが金メダルを取りました(もう17年も前のことなんですね・・・時が経つのは早い)。ずいぶんと興奮した記憶があります。おそらく、高橋選手に憧れて多くのアスリートが奮起した事でしょう。陸上に携わる者であれば、オリンピックの舞台は究極の目標のはずです。
しかしながら、誰もが高橋選手のようになれるかというと、そうはいきませんよね。高橋選手は、練習量の多さが有名ですが、おそらく、基本的な大部分の練習メニューは、他のアスリート達が行っているものと大差があるものではないはずです。でも、なかなか高橋選手のようにはなれませんよね。恐らく、高橋選手の強みは基本的なこと(ある意味あたりまえのこと)を確実に且つ、執拗に「やりきる力」がある事にあるのであろうと思います。
我々営業部隊がジェムコ日本経営を理解頂くことに苦労するところは、正にこの執拗に「やりきる力」を伝える所にあるのだろうと思います。
モノづくりの世界で言えば、例えばトヨタの生産の仕組みについては、今では深く研究もされ、実際に取り入れている企業は多いはずです。ですが、すぐにトヨタと同じ様なパフォーマンスはなかなか出ないことも多いようです。
すり合わせ理論で有名な東大の藤本隆宏教授の著書「日本のもの造り哲学」の中に、「トヨタの生産現場の仕組みの大半は、テーラー主義や古典的な官僚制論、あるいは経営プロセス論といった百年近く前の経営学で説明できてしまうようにさえ思います。(中略)シンプルな経営原則を全員で首尾一貫して行っている。そこにこそトヨタの強さの本質があるがある。」との一節があるますが、つまり強い会社は、基本ができているという事なのだと思います。
もちろん技術や手法、最新のツール(IT等)は重要ですし、効率化に大いに貢献しますが、ことの本質は「やりきる力」「基本」にあるのだろうと思います。
例えば、コストを作りこんでいく事に、目のさめるような技法や、魔法の杖があるはずも無く、ある意味当たり前のことを確実にやりきることこそが重要なのかもしれません。
つまり我々のご支援は、ある意味当たり前にやるべきことを、時間や色々な制約がある中で「どのようにマネジメントして確実にやりきって頂くか」ということとも言えます。(それ故に、マネジメントコンサルタントといいます)もちろんコンサルタント会社ですから最新の技術や手法もご提供できることは、大前提です。
「知っていること」「やっていること」と「出来ていること」の間には深く、且つ大きな川が流れています。どうやったらこの川を渡って頂くご支援ができるのか・・・。
これが非常に厄介なところで、この点の訴求が中々難しい所です。
日々このような事を考えつつ、色々な方々とお会いしながら悪戦苦闘している毎日ですが、色々なお考えをお伺い出来るので、とても楽しく、刺激のある仕事であります。