生産性向上・コストダウンは永遠に不滅です!| 中堅製造業の「振り返ればSCM」
文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 奥村英夫
中堅製造業の「振り返ればSCM」
◆はじめに
SCMは大手の組立型の製造業を中心に盛んに導入されているが、中堅製造業にはまだまだ敷居が高い概念、戦略であると受け止められている。その背景として、SCM構築においてITの活用や成果の事例が華々しく強調され過ぎ、中堅製造業からは自社の実力からかけ離れたもののように感じられるからと思われる。実際、中堅製造業の何社かのSCM構築を支援してきたが、BPRに基づく定量成果の獲得と意識改革の裏付けが得られて始めて「SCM」という概念が受入られると痛感している。即ち、「振り返ればSCM」の演出が中堅製造業とっては重要なキーワードではないかと思われる。この連載第一回目では、中堅企業で実際に行ったSCM構築事例を紹介する。
◆ プロジェクト概要
(1)電気組立業 規模:年間売上高100億円 株式:店頭公開
(2)テーマ SCM構築による競争優位の実現
◆課題
(1)顧客の納期評価が同業平均を大きく下回り受注拡大のネックであった
(2)大手顧客を中心に短納期、小ロット化要求が強くなってきた
(3)需要の低迷による売上減で大幅な赤字を計上した
(4)このような中で生産機能の大半がアウトソーシングされており身軽な反面、生産性を考えた
設計、技術ノウハウに欠けており、これが納期力の弱さと高コスト構造にしていた
◆主な改革課題
経営側と改革方向性を論議した結果、次のような課題、目標を得た。
(1)顧客納期評価の向上による受注拡大
(2)小ロット短納期要求に対応した生産体制構築
(3)在庫回転率向上
(4)コア技術を有する工程の内製化、一貫化
(5)ABCシステム構築によるコスト管理力強化
◆プロジェクト成功のポイント
課題は広範囲であり全社の部門が関連するが、いきなり全社で検討するよりまず製造業の「エンジン」ともいうべき「物作り」性能を抜本的に強化することからはじめる戦略をとった。即ち、確実な情報に基づく生産を行なうためには、ギリギリまで情報を手元に引きつけて生産することが必要であるが、そのための生産体制や生産計画サイクル、さらには部材調達課題というように、生産系の改革から始め、原因構造を掘り下げ、発展させながら課題の連鎖の中で徐々に関連部門を巻き込み、活動目的と経営要求とを関連させながらBPRを推進していった。
◆進め方
ステップ1 生産の競争優位モデルの構想化
ステップ2 生販の競争優位モデルの構想化
ステップ3 生産モデル、生販モデルの実現
ステップ4 SCMとしての完成
◆☆効果☆
製品回転率 2ヶ月→1.5ヶ月
顧客納期評価 Cランク→Aランク
受注伸び率 △10%(業界平均△10%)→30%(業界平均10%)
工場損益 赤字→黒字
◆改革で構築したSCMの姿
以上
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